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『親のおくり方』|ほんの少し未来の自分への宿題

 

『親のおくり方』という本を読んだ。

たしか、高円寺の古本屋さんで手にして、ツンドク(積ん読)しておいた本。

 

2017年3月には高円寺から転居したはずだから…

この本、買ってから読むまでに5年経ってるのね。

お待たせしちゃったな。

 

この『親のおくり方』。

帯の文章を引用すると、「11人の著名人が語る父や母への思い、別れ方、そして別れの乗り越え方」と書いてある。

 

手にしたとき、特別なにか思い入れがあったかどうかまでは覚えていないのだけれど。

今年、2022年に引っ越してから本の整理をしている際、あらためて読む気になって、2日ほどで読んだ。

 

ちなみに、11人の著名人、というのは、以下の方々。

遠藤憲一さん、梨元麻里奈さん、桂由美さん、落合恵子さん、梅沢富美男さん、井上麻矢さん、美勇士さん、秋野暢子さん、安岡力斗さん、桂あやめさん、宇崎竜童さん。

 

親の死をとりかこむ、関係の変化、別れの儀式、覚えている言葉、残された家族同士の交流などが描かれていると思う。

 

十人十色の物語り、そしてコラム

 

親、という切り口からして、天邪鬼(あまのじゃく)な私は、「親がいない人もいるし」と、まずは思ったりする。

けれど、読んでみれば当然、十人十色、それぞれの物語りがあることがわかる。

 

それから。

「親のおくり方」というタイトルに、ハウツー本を思わせる文字構えだと思う人もいるかもしれない。

けれど、旅立つ人、見送る人、様々な状況や価値観によって、十人十色、その日その時その当事者たちなりの別れがあることも、読めば感じられると思う。

 

エッセイの合間には、実例を交えた具体的で参考になるコラムが挿入されている。

物語り的な部分を主菜、ハウツー的な部分を副菜として、どちらも味わえる本、とも言えるのかもしれない。

 

コラムは全部で5つ。

それぞれ、親をおくる時のことを考えると無関係ではいられない、「遺言書」「ガン」「認知症」「お葬式」「お墓」についてのコラム。

けっこう、コラムを読んで考えることも多かった。

 

備忘録もかねて、あえてコラムを読んで考えたことを書いていきたい。

 

エンディングノート

私は本に関しては財布のひもが緩んでしまうところがあって、本の衝動買いを抑えるために意識して図書館で「衝動借り」をしたりする。

興味があると、とめられないことがある。

ちまたで最近よくきく「エンディングノート」なるものが気になって、少し前にシンプルなものを買ったっけ。

いまでは100均でも売っているから驚き。

(買ったのは100均ではないけれど)

 

財産関係の記録や、お葬式への意向などはもちろん、親族や友人の連絡先、PCなどの処分方法など… 

すごく薄い冊子なのに、気の遠くなるような作業に思える。

そして貴重な情報ばかりがつまっていて、このノートなくしそう、って思ったり。

それでも、どんな項目があるかを知っていることや、考える機会があるというのは良いことかな。

 

30代とはいえ、これからの人生をもっと豊かにする意味でも、色々なことをシンプルに整えておこうとするのは悪くないと感じる。

 

ガンは「いい病気」?

私が子どもを産んで、確実に変わったことのうち1つに、「ケガや事故への意識の高まり」がある。

子どもは自分で自分の身を守ることに慣れていない分、大人に比べたらいとも簡単に大けがや事故にあってしまう。

 

母子手帳をもらうときや、〇歳児健診やなんかでもらう、子どものケガ防止を啓発するパンフレットなんかは、いつもひととおり目を通しては、気を引き締めていた…

 

家庭内での事故、死亡だけでなく、交通事故での死亡も少なくないと感じる。

1~2年前に免許を取ったけれど、歩いているときや自転車に乗っているときの死亡リスクが高いのは明らか。

災害だってある。

日常的に私たちは本来、死と隣り合わせで、病気で死ぬにしたって急死するケースもある。

 

そういう意味でも、ガンという病気は、「いい病気」ということなのだろうな。

 

①標準治療が確立されていて、

②痛みの緩和もすすんでいて最後まで本人らしく生きやすく(比較的)、

③実例やエッセイ本も多くあるので心身の経過への見通しが立ちやすい…

 

そういう話だった気がする。

 

どんなふうに死にたいか?と問われたら、

「認知機能を保ったまま、周囲とコミュニケーションができる状態で、あるていど見通しをもって死を迎えたい」と答えたい。

 

そうすると、老衰の次に、ガンは選択肢なのかな。

(老衰についてあまり知識がないのだけれど)

 

認知症との付き合い

 

認知症について、どのような病気か症状かなどは、だいぶ一般に知られるところになっていると思う。

私もたぶん、平均以上は知っている気がする。

 

でも介護する家族側の視点、本人の視点、そして介護にかかる費用や得られるサポートの幅、実際について、実感をともなった具体的なことは何も知らないんだなと感じた。

 

お金がたくさんないといけない、というよりも…

自分がどのような生活をするのが快適か、幸せか。

自分自身を大切にした、日常の巣作り?をできるか。

「その人なり」の答えを用意しておくことなんかが大事、なんだなあと、改めて思ったり。

 

住み慣れた団地というコミュニティがあるからかもしれないけれど、高齢の認知症の方が、ヘルパーさんを1日3回利用したりして自宅で過ごしている例になんだかいいなあと思ったり。

 

コラムには介護認定や包括センター、ケアマネさん、生活保護などについても書いてあって。施設もいろいろだよーなんて。

中立的でざっくばらんなコラムって、けっこう貴重かもしれない。

 

お葬式や、お墓のこと

 

お葬式のコラムでまず出てきたのは、死亡診断書の話。

かかりつけのお医者様がいるかいないか、持病で亡くなるかどうかなどで、けっこう時間や費用が変わってくる、ってこと。

知らなかった…

全然、まったく、思い及ばず。そうなんですね。

 

コラム後半は、お葬式の相場や、葬儀社の費用かさ増しの手法を共有してくれていて…

結婚式のプランのように、青天井なのかな、と想像。

 

このあたり、夫とシェア。

50万の家族葬かなあ~、なんて。いろいろと。

 

つづけてお墓のコラムを読むと…

お墓を作るのも、維持するのも、動かすのも。

本当に費用がかかるし手続きが大変なんだなあ~って。

 

可能なら、費用や手続きを省いて、手作り感のあるお見送りをする。

あるいはもう最低限で何もしなくても大丈夫だよ、って考えちゃったな。

 

さて、わたしは。

 

本書の、印象にのこったエッセイを抜粋することも考えたけれど、エッセイ自体は読者がそれぞれのタイミングで味わえたらいいんじゃないかと。

 

エッセイを読むと時々考えること…

 

私は、もしその時を迎えたら、どんなエッセイを書くのかな?

 

あるいは、今の時点で、「親をおくる」ことについてどんなエッセイを書きたいかな?

 

ほんのすこし未来の自分への、宿題にしたいと思う。

 

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